上原 勉先生(二代目校長)
新聞の比べ読みを楽しむ

 ここ五年程NIE(Newspaper in Education) "教育に新聞を"に関わる仕事をし、改めて新聞の勉強をする機会に恵まれました。私たちはいま情報の渦中にいて、情報をいかに収捨選択するかが大きな問題です。新聞は情報の宝庫で、新聞一部の情報量は文庫本一冊に匹敵すると言われています。

 私は新幹線で二〜三時間の旅をする時、駅で新聞三紙を買い求め、車中でその比べ読みを楽しむことにしています。帰路も現地の三紙を購入し同じ読みをします。比較のポイントは次の四点に絞っています。
  @一頁目の総合面(ニュースの凝縮)
  A論説「社説」欄(発行社の精神)
  Bコラム欄(短評)
  C投書欄(読者とのパイプの太さ)

 たまたまその日が文化の日であると文化のとらえ方が明瞭に比較できます。憲法記念日、勤労感謝の日、こどもの日、成人の日、敬老の日など比べ読みが楽しめる日です。日頃からこの視点をおさえて読んでいます。

 同じニュースでも新聞社により見出しの付け方や扱い方も違います。各社の特色です。新聞の見出しは内容の結論が数文字で簡潔に表現されています。新聞は基本的にはどこを読んでも、どこから読んでも楽しめばよいものです。しかし比べ読みは情報をより客観的に視る場となります。

 新聞は速報性においてテレビに適いませんが、記録性においては勝れています。日本の新聞発行部数は一日約七千万部で世界のトップです。これは日本の情報文化のバロメーターとも言えましょう。手段としてのIT(情報技術)を含めこれからは情報処理力の時代です。情報の取捨選択能力がその人の生活を左右します。一人ひとりのメデアリテラシーでもありましょう。メディアに振り回されない生活ができるようにしたいものです。