奥山弾士さん(10期)
奥山さんは田無高校卒業後、調理師専門学校に進学し、1年間料理店に就職。その後、再度専門学校に通い栄養士の資格を取って老人保健施設で給食献立・調理の仕事をしていましたが、現在はコンピュータのサポート会社に勤めていらっしゃいます。 「栄養士」と「コンピュータ」・・・全く畑違いの仕事のように見えますが、仕事を選んだ動機やきっかけを中心に語っていただきました。



 

奥山 弾士(おくやま だんし)   

 

・1976生まれ
・1995年3月田無高校卒業(10期)
・服部栄養専門学校調理師科卒業後、日本料理店に勤務。
・翌年、服部栄養専門学校栄養士科入学。
・卒業後、介護老人保健施設の栄養部門に栄養士として勤務。
・2002年2月コンピュータサポート会社に転職し、インターネット接続に関する電話サポートを担当。
 

 
−高校時代はどんな生活でしたか?

一言でいえば、思いのままに生活していました。クラスや部活(科学部)の仲間と一緒にいろいろなところに出かけたり、今から思えばとてもエネルギッシュだったと思います。今は仕事が忙しくて、それだけでエネルギーを使い果たしてしまうので、懐かしく感じます。

−進路や将来のことは考えていましたか?料理の世界に入るきっかけなどあったら教えてください。

目指していたものは特になかったです。高校生の頃に将来の職業を決めるというのは、私にとっては難しかったと思います。アルバイトもしていなかったので職業に対するイメージも沸きませんでした。ですから進路を決めるときは、両親が食堂を経営していたので「調理師専門学校にでも行こうかな〜」という軽い気持ちでした。

−一度専門学校を卒業して調理師になってから、再び専門学校に入り直して栄養士の資格を取ったそうですが。

私が栄養士になろうと思ったきっかけは、日本料理屋で働いている時に体調を崩した事があり食べ物の価値観が変わったからです。

調理師の勉強をしていたときは「おいしいもの、見た目が美しいもの」を作ることに関心があったのですが、自分が体調を崩してみて、食べ物はおいしさだけではなく健康維持するために必要なものだということを強く感じました。毎日食べている料理がどのように身体に良いのか知る事はとても大切な事だと思います。

栄養学を学んだ事によって、ちょっと食事も気を使うようになり、私生活にも良い食生活を心がけるようになりました。料理を職業としない人にとっても栄養に関する知識はとても役に立つと思いますよ。

−「調理師」というと男性が多く、「栄養士」は女性が多いというイメージがあるのですが、実際はどうなんでしょうか。

おっしゃるとおり一般的に栄養士は女性の仕事というイメージが強いですが、男性の栄養士も多いですよ。ちなみに私が働いていたところでは半数以上が男性の栄養士でした。年配の方では女性が多いですが、最近は性別による仕事の差は縮まっていると思います。

栄養士の資格を取れる4年生大学はほとんどが女子大なので、大卒の栄養士は女性が多くなります。大卒の栄養士は食品メーカーなどに就職して商品開発の仕事に就く人が多いですね。専門学校はだいたい男女共学なので男性栄養士も多く、調理の現場に就職する人が多いです。

−栄養士というと「裏方さん」で、私たちが見かけるようなところにはあまりいらっしゃらないのかな、と思うのですが。

そんなことありません。トンカツ弁当のチェーン店では正社員のほとんどが栄養士というところもありますし、テパ地下のマネキン(販売員)にも栄養士の資格を持っている人がいます。最近は健康ブームで栄養相談をしてくれる店もありますので、もし買い物をされた時に、そのようなお店を見つけたら立ち寄ってみてはいかがですか。

−奥山さん自身はよく料理をする方ですか?

料理は得意ではないですが好きです。最近は仕事が忙しいので残念ながら家に帰ってきても自分が作るという事はあまりないです。

−今は全く違う仕事をしていらっしゃるようですが。

将来は「食べ物のお店を出したい」という漠然とした夢を持っています。

最近は定食チェーン店も流行ってきていますが、1品ものを提供するのではなく、栄養のバランスを考えた家庭の食事を提供できるような店です。以前からそういったお店も多いのですが、入りにくいんですよね。私が仕事で体をこわした経験から、本当にバランスの取れた食事を必要としているサラリーマンや若い女性が入りやすいお店づくりをしたいと思っています。

そのために「お店を出すのであればお客様の立場に立ってみる必要がある」と考えました。調理師、栄養士と食べ物に直接携わる仕事をしてきたので、お客様がどういう食生活を送っているのかを体験したい。だから一度サラリーマンになる必要があると思ったのです。

−実際に作る側から食べる側に回ってみてどうですか?

会社は菊川(墨田区)にあるのですが、付近はオフィス街でファーストフードや牛丼、ラーメン店などしかなく、選択肢が狭いと実感しました。定食の食べられるようなお店はほとんどありません。残業すると夕食も外食になって、自分自身で偏った食生活になることを肌身体験しています。やはりサラリーマン向けの定食屋が必要なんだと強く思います。

− お店を持ちたいということですが、今の仕事は「腰掛け」的なものなのですか?

長くは勤めないと思いますが、決していい加減な気持ちでやっているわけではありません。あるプロバイダでインターネット接続設定の電話サポートをしているのですが、この仕事は「お客様の立場に立つ」経験ができるということで決めました。若い人からお年寄りまでコンピュータの知識が全くない方からも電話をいただくので、毎日が勉強です。

今までの働いてきた料理の仕事とは形態もジャンルも全く異なる業務内容ですが、違う内容の仕事に転職する事で、色んな経験も出来るので楽しいですよ。

− 忙しい毎日のようですが、息抜きの仕方を教えてください。

今まで経験してきた仕事はなぜか残業の多い職場ばかりです(苦笑)。休みの日はドライブでいろいろなところにいって気分転換しています。最近は「うどん」にはまっていて埼玉県の加須や寄居に車で行きます。四国にも行きたいのですが、休みがないのでしばらくは行けそうもありません。

− 漠然と選んだ進路がだんだんと強固なものになっていく道筋がよくわかるインタビューでした。

− インタビューの最後に奥山さんから後輩へのメッセージを頂きました。

「高校時代には自分のやりたい仕事がわからないかもしれないですが、なんとなく進学するよりも仕事をする方が私は良いと思います。私は専門学校に進学しましたが仕事に就いてから将来やりたい方向性が見えてきました。皆さんも将来になりたい夢を見つけるきっかけを探してみてください。」

− まさに奥山さんの経験から出ている言葉だと感じました。